高山寺は京都市右京区の栂尾(とがのお)にあります。
高尾山の神護寺よりもっと奥に行った、自然豊かな山の中にあります。
紅葉の季節に来たらさぞかし美しいだろうと思わせるその高山寺は、古い歴史をもつお寺であり、国宝や重要文化財を収蔵しているお寺でもあるのです。
世界文化遺産にも登録されています。

高山寺は鎌倉時代に明恵上人(みょうえしょうにん)により、創建されたお寺です。
創建以来、このお寺は何度も火災にあって、創建当時の殆どの建築物はなくなっています。
ですが創建以来唯一残っているのが、明恵上人の住まいでもあった、「石水院」なのです。
元々「石水院」は経蔵(きょうぞう)として使われていました。
「経蔵」というのは、仏教に関する書物等を収蔵するための建物です。
ですが明恵上人の住居として使われていたのも確かで、鎌倉時代の住宅風建築として残っているものとしてとても貴重なものなので、国宝に指定されています。

そしてこの高山寺で、もっとも有名なのが、国宝の「鳥獣戯画」です。
高山寺は知らなくても、この「鳥獣戯画」は本やテレビで一度は見たことがあるかもしれません。
ですが高山寺で見ることが出来るのはレプリカで、本物は京都国立博物館(乙・丁巻)と東京国立博物館(甲・丙巻)で保存されています。(紙製の国宝ですから、お寺では管理が難しいのです)
でもレプリカだったとしても、全巻をじっくり見られるのは嬉しいことです。

全部で甲乙丙丁の4巻になっています。
甲乙巻が平安時代、丙丁巻が鎌倉時代に描かれたとされていますが、はっきりとした作者は分かっていません。
とは言え、筆運びのうまさ、自由奔放に描かれた様、絵に関する技術力もかなりものとされています。

特に甲巻は、擬人化されたウサギ、サル、カエル、キツネ等が繰り広げる、ユーモアあふれた巻になっていて、一番有名なものとなっています。
川遊びに興じるサルやウサギから始まり、ウサギとカエルの弓の競技へと移ります。
全編、楽しくてしょうがないと言った雰囲気満載で、誰もが思わず笑ってしまうようなユーモアと楽しさがあります。
全長11.5メートルの長さの絵巻物ですから、右から左へと移って行く絵を目で追うようになっています。
日本最古の漫画とも言われるのも納得が行きます。

この高山寺には日本最古の茶園があることでも知られています。
お座敷に座って美しい木々を眺めながら、抹茶と和菓子を味わうことが出来ます。

画像提供:京都フリー写真素材