京都の緑豊かで閑静な南禅寺界隈別荘エリアにある「泉屋博古館」。
市バスで「宮ノ前町」で下車したすぐの所にあります。
この美術館は住友家の第15代当主住友春翠が明治から大正にかけて収集した、中国の古い青銅器と鏡鑑を保存公開するために造られた美術館です。
昭和45年に開館しましたが、青銅器や鏡鑑だけでなく、中国や日本の書画、洋画、陶磁器、茶道具等、かなりの名品が3000点以上も収蔵されています。
その名品の中には国宝が2点、重要文化財が13点含まれています。
国宝の1つは、線刻釈迦三尊等鏡像(せんこくしゃかさんぞうとうきょうぞう)です。
これは直径15センチ程の白銅で作られた鏡の一種で、縁が8つに区切られた花弁のような形をしています。
作られたのは平安時代で、鏡面に様々な仏像が線彫り(細い線だけでの彫刻)にされています。
特別展の時にのみ展示されます。
もう一つの国宝は、中国の南宋時代の絵画「絹本著色秋野牧牛図」です。
中国の宮廷画家「閻次平(えんじへい)」によるものだとされています。
牧歌的な絵画で、紅葉した木の下に母牛と子牛がのんびりとくつろいでいます。
こちらも特別展の時にのみ展示されます。
この美術館は以上のような名品を数多く収蔵していますが、この美術館の一番の特徴は、やはり古代中国の青銅器の数々と言えます。
この美術館が出来たのも、住友家の15代当主が集めた青銅器を保管、展示する事が目的だったわけですから、そのコレクションの数や質の高さは群を抜いています。
展示は4つの展示室でされており、それぞれがガラスのケースに収まり、整然と置かれています。
様々な時代の色々な形の青銅器を楽しむことが出来ますので、こういった古代の青銅器に興味のある人なら見入ってしまう筈です。
コレクションの中でも有名なのが、太鼓の形をした青銅器です。
高さは82センチ、殷の時代のもので、今から3千年以上前に作られたことになります。
太鼓の上には鳥が乗っており、太鼓の横には人間の顔が描かれています。
また同じく殷の時代のもので、虎の形をしたお酒を運ぶ容器があり、とてもユニークな形をしています。
怖い形相で口をあけた虎が、人間を抱き抱えているのです。
意味不明の形ですが、3千年以上も前の作者の奇抜な発想が面白いです。
他にも色々な青銅器があり、解説をしてくれるスタッフも揃っているので、楽しく鑑賞出来ます。
住所:京都府京都市左京区鹿ケ谷下宮ノ前町24
電話:075-771-6411
最寄り駅:蹴上駅から徒歩約16分
営業時間:通年 10:00~16:30
定休日:毎週月曜/祝祭日
画像提供:京都フリー写真素材