千本釈迦堂の正式な寺名は大報恩寺です。庶民的な信仰の寺。
真言宗智山派で山号は瑞王山。
承久3年(1221)に求法上人義空が小堂を建立して仏像を祀ったのが起こりです。
嘉禎元年(1235)に俱舎・天台・真言三宗弘通(ぐづう)の道場として栄えました。
国宝指定の本堂は、応仁・文明の乱をはじめ、幾多の戦禍を免れてきています。
そのため安貞元年(1227)の建立で京都市で現存最古の建築物です。
仏像彫刻に優品が多く、行快作釈迦如来座像、快慶作十大弟子立像(十体)、定慶作六観音菩薩像(六体)など重要文化財があります。
さてその本堂建築には哀しい物語が伝わっています。
大工の棟梁の妻阿亀は、木材の寸法を間違えた夫の建築ミスを助言して救うことになります、しかし女に助けられたという話が世間に漏れては、夫の大工の名声が失われてしまってはいけない、ということで阿亀は自害してしまうのです。
本堂前に優美な姿をした枝垂れ桜は、この伝説にちなんで阿亀桜(おかめざくら)と名付けられました。
そのためかなぜか満開となっても心なしか寂しげに見えてしまうようです。
花の枝の向こうにある阿亀の像もまたふくよかな笑顔なのにどこか寂しげです。
〒602-8319 京都府京都市上京区溝前町
千本釈迦堂 大報恩寺 公式サイト
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